銀河のリズム、地上の鼓動―魂職に出会うまで ―ひびきの輪の後で③見えない流れを読む

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銀河のリズム、地上の鼓動―魂職に出会うまで ―ひびきの輪の後で②触れてほしくなかった場所

帰り道、アイの農場からミカとユウは二人で歩いていた。夕暮れの道にはふたりの足音だけが響いている。

「私、最近、何気なく言った一言で相手を怒らせちゃうこと、よくありがちなんだよね。会社でも似たようなことがあったんだ」
ミカは小さくため息をついた。アイの怒りの表情が、繰り返し頭の中に浮かんでは消えた。

ユウは歩きながら、静かに答えた。
「ミカの波動が変わって、成長、覚醒モードに入っているから、ミカの放つエネルギーが強くなってるんだよ。それに合わない人とは波長が合わなくなってる」

「えっ…?」

「ミカがありのままの輝きを発していると、それに照らされた相手は、心の奥底に隠しているものを炙り出されてしまうような居心地の悪さを感じるんだろうね」

ミカは立ち止まった。

ユウも立ち止まり、ミカに向き合った。「最近のソラの動きは、火星が天王星にスクエア。行動と伝達が衝突して、隠していた思いがあぶり出されるタイミング。アイとミカ、二人が大切なことに気づくために今日の出来事は必然だったのかも」

ミカは、自分が無意識のうちにソラの流れを受け取っていること、自分の”響き”の力を持て余していることに、初めてはっきり気づいた。

***************************

ユウは昔から、空気の“微細なズレ”を感じ取る子だった。

「見えないもの」に敏感で、けれどそれを言葉にすることはできず、
子どものころは「変わった子」として距離を置かれた。

星の動きやタロット、エネルギーの波。

それらを学ぶようになって、ようやく“自分の感覚”に居場所を見つけた。

でも、「伝えること」にはまだどこか抵抗があった。

自分の言葉が、相手にとって重すぎるのではないか。

余計なお節介になるのではないか。

それでも、ミカとアイと出会い、響き合い、そして今日、衝突する様を目の前で見たとき、ユウの中でなにかが定まった。

(この流れを、ちゃんと共有しよう)

ユウはその夜、2人に同じメッセージを送った。

「3人で2泊3日のリトリートしよう。今いる場所から離れて、自然の中で、今の自分と、これからを見つめ直す時間をつくろう」

場所は、ユウが時々訪れていた湖の近くのペンション。
電波も弱く、星がとてもよく見える場所。

そこに3人が集い、火を囲みながら、今までのこと、そしてこれからのことを静かに語り合う。

衝突の奥にあったのは、本音。

その本音を、今度こそ「響き」に変えるために――

3人の新たな旅が、始まろうとしていた。

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