皇の時代にわたしを生きる実験(第2話)点と点がつながる夜

共鳴小説
スポンサーリンク

新幹線の座席で、ミカは陽子さんから渡された本をそっと開いた。
少し日に焼けた、やわらかな白の表紙。何度も読み返されてきた本特有の、紙のやわらかな癖が指先に伝わってくる。表紙をめくると、陽子さんの言葉が胸の奥によみがえった。

「この本に書かれていることを、そのまま信じないでね。」

その言葉の意味を、もっと知りたかった。

最初の数ページを読んだだけで、胸の内に小さなざわめきが起こった。これは、ただの本ではない。今まで断片的に聞いてきた話の背景にある、大きな地図のようなものが、この中に書かれている。

ページをめくるたびに、知りたいことが次々に現れる。けれど新幹線はほどなく終点に着き、アナウンスが流れ始めた。ミカは名残惜しく本を閉じた。

「早く続きが読みたい」

胸の中に、久しぶりに抑えきれないような高揚感が生まれていた。
家に帰ると、スーツケースを玄関に置いたまま、コートも脱ぎきらないうちに机へ向かった。荷物をほどくより先に、本の続きを開きたかった。湯を沸かし、紅茶をいれて、椅子に腰を下ろす。

気づけば時計の針は何時間も進んでいた。
ページをめくるたびに、付箋が増えていく。気になる箇所に線を引き、本を閉じては天井を見上げる。「そうだったのか」と何度も小さく息をのんだ。

今まで、アイやユウから断片的に聞いていた言葉。響環ZINEを作る過程で何度も触れてきた考え方。面白いと思いながらも、どこかでうまくつながらず、理解しきれないまま残っていた部分。その空白が、一つずつ埋まっていった。

ばらばらだった点と点が、目の前で一本の線になっていくようだった。

祖の時代と皇の時代。

支配とコントロールの時代から、自由と自立と自己責任の時代へ。
不幸産業で拝金主義の社会から、人を楽しませ、楽にさせるものづくりがテーマの幸せ産業に変わり、誰もが得をする、誰にとっても喜べる恵財社会へ。
「好きなことを、楽しく、楽に」生きることが、そのまま時代の流れに沿うことになる。

ミカはページの上に指を置いたまま、しばらく動けなかった。
これまで、自分の人生は、自分の力ではどうにもならない大きな何かに左右されているように感じていた。

景気。社会。家族。時代。偶然。運。

どれだけ努力しても、結局は外側の力に決められてしまうではないか。そんな感覚が、心のどこかにずっとあった。

宇宙には自転と公転があり、法則がある。今までの2500年間は、夜の時代だった。

新しい時代になったら、自分もまた、この世界を創る側に参加できる。自分の感覚を信頼し、実際に生きてみることで、人生は受け身のものではなくなる。

そのことに驚き、納得し、希望を持てたとき、胸の奥で何かが静かにほどけていった。

窓の外では、夜が深まっていた。テレビでは相変わらず、不穏なニュースが流れている。不景気、争い、先の見えない社会の変化。世界全体が不安に包まれているように見えた。

けれど、本の中にははっきりと書かれていた。
いまは、大きな転換の途中にいるのだと。
太陽系に于由光線が当たり、銀河の夜が明け昼の時代へ向かっているのだと。

素晴らしい新たな時代が、あなたの目の前で手を差し伸べています。

ミカは、そのページに何度も目を戻した。
世の中が混乱して見えるのは、終わりではなく、移り変わりの途中だからなのだ。そしてその先には、もっと自然で、もっと自由で、もっと人間らしい生き方が待っている。

そう思ったとき、理由のわからない安心感が胸いっぱいに広がった。変化は、恐れるものではないのかもしれない。むしろ、自分がずっと心のどこかで望んでいた生き方へ、世界全体が向かっているのかもしれない。

夜更け、ミカは五年日記を開いた。
新しい紙の匂いが、まだかすかに残っている。
ペンを握り、しばらく考えたあと、ゆっくりと書き始めた。

今まで、人生は外側の力に支配されているように感じていた。
でも、もう支配の時代は終わる。
宇宙には法則があり、私はその大きな流れの中で、大転換期のタイミングを生きてる。

時代そのものが、
「好きなことを、楽しく、楽に」生きる方向へ向かっている。

もしそれが本当なら、
私はもう、誰かのいうことを信じて従うのではなく、
自分の感覚を信じて、本当にそうなっていくのか実験して検証していけばいい。

書き終えると、ミカはそっとペンを置いた。
窓の外は、静かな朝だった。

ミカは本を胸に抱きしめた。ミカの内側では、眠っていた種がゆっくりと目を覚まし始めていた。まだ芽は見えない。でも、確かにその鼓動を感じていた。

共鳴小説『三つの種、響きのはじまり ― 銀河のリズムの前奏曲 ―』火の章 こころの灯火をたどって①

共鳴小説『三つの種、響きのはじまり ― 銀河のリズムの前奏曲 ―』火の章 こころの灯火をたどって②

共鳴小説『三つの種、響きのはじまり ― 銀河のリズムの前奏曲 ―』火の章 こころの灯火をたどって③ 

銀河のリズム、地上の鼓動-わたしたちは響き合うために出会った-をキャッチしてくださったあなたへ

X:ピース・ウーマン(@aIRJW4zvMaRGE4N私達はこの地球に住むみんなが 調和して、自分達が思う幸せであることを望んでいます。 それには地球という体験の場所を大切にする。 そして、そのためにこれから先もどんな事をしていけば良いのか知ること、そしてそれを伝えて行きます。

タイトルとURLをコピーしました