銀河のリズム、地上の鼓動 ―魂職に出会うまで ―①ひびきの輪をもう一度

共鳴小説
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銀河のリズム、地上の鼓動-わたしたちは響き合うために出会った-をキャッチしてくださったあなたへ

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「もう一度、あの場を」

アイの畑は、豊かに実りはじめていた。
草の匂い、土のぬくもり、鳥のさえずり。それは世界が、また何かを始めようとしている合図のようにも感じられた。

「手紙が届いたんだ」

アイから受け取った手紙をミカが両手で持ち、大切に読み上げた。

こんにちは。前回の『ひびきの輪』に参加した紬(つむぎ)です。
わたしは今、中学校に行っていません。ずっと理由もよくわからなくて、
自分でもどうしていいか分からない日々が続いていました。
でも『ひびきの輪』に行って、誰にも無理に何かをさせられなくて、
ただそこにいていいって思えたんです。
あの空間が、わたしの心の中に、あたたかい灯りみたいに残っています。
また、あの場所に行きたいです。

読み終えたあと、ミカはしばらく黙って手紙を見つめていた。
ユウとアイも、それぞれの心の奥で何かが動き始めているのを感じていた。

「…また、やりたいね。“ひびきの輪”」
ミカの声は、どこか遠くから届くような響きだった。

「うん」
ユウが静かに頷いた。「わたしも、最近思ってた。クライアントさんのことでね。やっぱり、誰かに何かを“教える”っていうより、一緒に“感じる”ことができる場所って大切だなって。」

アイも、やわらかく笑った。
「大地も、同じ場所に種をまいても、季節やタイミングで芽の出方が違うの。あの時は芽を出せなかったけど、今なら…ってこともある。もしかしたら、今がちょうど“発芽のとき”なのかもね」

三人の間に、ことばのいらない共鳴が走る。

「でも、次はどんなテーマにしようか?」ミカが問いかけると、ふと風が庭先を抜けた。
木の葉がさらさらと音をたて、その中でアイがぽつりと口を開いた。

「“魂職”って言葉、知ってる?」

ミカは首をかしげた。「コン…ショク?」

「これからの皇の時代に生きる人は、誰でも必ずひとつの魂職を持っているの」

アイは、ゆっくりと続けた。
「わたしたちって、学校で“何になりたいか”ばっかり聞かれて育つでしょう?でも、あれって“世の中にある職業の中から選ぶ”話。祖の時代にあるのは不幸産業だから、これから失くなる仕事が増えて、職種もガラッと変わるの」

ユウがうなずく。「たしかに…占いの相談でも仕事について聞かれることが多いのよ。何が向いてるか、天職って何かって。でも、頭で考えるうちは、どこか借り物みたいで。」

「人にはそれぞれ、自分にしかできない役割があってね。その役割は魂の記録の中に書き込まれていて、魂職を活かして人生を楽しむことで、その結果として世のため、人のため、自然のためになるのが皇の時代」

ミカが、小さくつぶやいた。「…あれ?でもそれって、紬ちゃんの手紙とも重なる気がする。“何をしたらいいかわからない”って書いてたよね。」

「うん。祖の教育では“自分が何者として在りたいか”にはつながってないんだよね。魂がほんとうにやりたがっている役割とか、在り方とか、自分の中に、芽はもうあるんだよ。でも、それに気づくには“感じる力”を取り戻すことが必要なの。」

ユウがそっと目を閉じた。
「じゃあ、“魂職”をテーマにしよう。誰かに決められたものじゃなくて、自分の奥にある役割に、そっと触れていけるような時間に。」

ミカもにっこりと笑った。「うん、私もそれ知りたいかも。自分にも何かできるかなって思いはじめてるし。」

こうして、第2回の「ひびきの輪」は、「魂職」をテーマに開くことが決まった。
外の風景は変わらず穏やかだったけれど、三人の心の中では、見えない芽がまた、静かに動き始めていた。

 

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