日常に戻った三人の中に芽生えた“響き”は、 わたしたちだけが感じていること?自分の感じた思いに正直になればなるほど、周囲や社会との調和が乱れ、 むしろ“違和感”が強くなる。不協和音が生まれる。
まっすぐな想いは、ときに浮いてしまう〜ミカ〜

「自然の音って、心を整えるっていうか…たとえば、風の音とかも“言葉”みたいに聞こえたりするの、最近。」ランチタイムの雑談の中で、ミカはふとそんな話を口にした。
「えっ、それって、なんかスピリチュアル系のセミナー行った?」
「ミカちゃんって、ほんと不思議ちゃんだよね〜」
同僚は軽く笑って受け流した。
笑いながら言われた言葉に、傷ついたわけじゃない。
ただ、自分が大切に感じていることが、
伝わらないという感覚が、スッと心に冷たい風を通した。
農場で感じた“あたたかさ”とは全然違う。――やっぱり、私って変なのかな。
その夜、ユウからのDMが届く。
「今日、配信に変なコメントきた。でもね、気にしない。私の響きに気づいてくれる人もいたから」
その言葉に、ミカはホッとした。
共鳴って、“共感されること”じゃない。
あの時、あの農場でちゃんと「響き合った」と知っていれば、それでいい。
「見えないもの」を伝える難しさ〜ユウ〜
直感が先に走り出しそうなときだけど、そのスピード感は動けというよりも、自分にだけ聴こえる「はじまりの音」
ただその音を感じ、心の中でそっと受け入れてみて。今日も、響きのままに・・・
SNSに投稿した星の言葉。
優しいコメントがつく一方で、 ユウのSNSに、心ないコメントが寄せられこともある。

「音なき音?そんなの、ただの妄想じゃない?」配信をする手が、止まりかけた。
ユウは、画面の向こうの人の心を想像する。 きっと、見えない世界をわからないことが怖いんだ。
だけど、画面の片隅には、変わらず届く小さな「ありがとう」のメッセージがあった。
「あなたの言葉で、気づいたことがありました」
「自然の音に、今日も耳を澄ましてみたよ」
農場で出会った二人は違った。 「わかろうとしてくれる」まなざしがあった。
見えないものを、言葉にして届けるのは、勇気がいる。
でもユウは、それが“自分の使命”だと今は知っている。
星空を見上げながら、彼女はそっとつぶやいた。
「たとえ信じてくれない人がいても、私は“あの場所”で確かに響いた。
それを思い出せば、私はちゃんと立っていられる」
そして彼女はまた、言葉を紡ぎはじめた。
届かない想い、揺れるこころ〜アイ〜
農場の小屋で開いた最初の「共鳴体験の会」。
「やっぱり、共鳴は感じてもらわないと伝わらないから…」
そう思ってSNSで投稿をし、近隣のショップにもチラシを置かせてもらった。はじめての挑戦だった。
「…誰も来ないんだ」
呟いたその声は、畑の静寂に溶けていった。
──あの時、ミカもユウも、「絶対いいと思うよ」って言ってくれた。
あの夜に話したこと、確かに本気だった。でも、現実はこんなにも難しい。
ぽつんと広い畑の真ん中に立っていると、大きな自然の中で、ちっぽけな自分が浮かび上がってくるようだった。胸の奥が、少し痛んだ。
誰かと響き合えたはずなのに、また“ひとり”に戻ってしまったような感覚。
「やっぱり私には、何もできないのかな…」
そのとき、ポケットの中のスマートフォンが震えた。
画面を見れば、ミカからのメッセージ。
ミカ「どうだった?今日は!ワクワクしてる~って朝言ってたから気になってて🌱」
続けて、ユウからも「今、月が魚座にあってね、“共鳴”を内側に問いかけるタイミングなの。今日の体験は、その一部だったんじゃないかな」
読んだ瞬間、ぐっと胸が熱くなった。
自分で決めたはずだった。
誰かに求められなくても、自分が信じるものを形にしたいって。
でも、本当は──
「今日ね、誰も来なかったの。
準備もがんばったし、すごく楽しみにしてたんだけど、
なんか、急に、自分だけが空回りしてるみたいに感じちゃって。
すごく情けないけど、いま、ちょっと泣きたい気持ちです。」
送ったあと、手が少し震えた。
ミカからすぐに返信が届いた。
「アイ、言ってくれてありがとう。
わたし、いま電車の中でちょっと泣いちゃったよ。
でもね、その気持ちを伝えられるアイは、すっごくかっこいいと思う。
ねぇ、またさ、3人で集まらない? 二人と話しがしたいよ。」
そして、ユウからも。
「アイの想い、ちゃんと伝わったよ。
今日、誰も来なかったことも含めて、それは“響き”の始まり。
わたしも、もう一度3人で会いたい。あの場所で、次のリズムを感じたい。」

自分の弱さを言っても、離れない人がいる。
その存在が、こんなにも心を温めるなんて──アイは、はじめて知った。
「まだ始まったばかりだ」
アイはそっと空に向かって呟いた。
風が、ふわりと吹いた。
それはまるで、どこかでミカとユウも同じ風を感じているかのようだった。
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