“ひびきの輪”の一日は、静かに夜の色へと染まっていった。
その夜、三人は星空の下で横になっていた。
農場の草の匂いと、夜風のやさしい音に包まれて、会話は必要なかった。
音なき音は響きづける
「今日のこと、忘れないと思う」
ミカがぽつりとつぶやく。
「わたしたちが何かを“した”っていうより、
この“場”が、みんなの中の“共鳴”を引き出してくれたんだね」
アイは空を見上げていた。
ユウが小さくうなずいた。
「音なき音って、たぶん……“聞こうとした人”の中に、自然に響いていくものなんだと思う」

星々は、静かにまたたいていた。
あの光が、何千光年も旅をして、今わたしたちの目に届いていること。
その事実だけで、心の奥が震えた。
“伝える”のではなく、“ともに響く”

ミカは残ったカップを丁寧に洗いながら、ふとつぶやいた。
「ねえ……この“ひびきの輪”ってさ、ここだけじゃなくて、いろんな場所でできるんじゃないかな」
アイとユウが、ほぼ同時に顔を上げた。
「……わたしも、それ思ってた」
ユウが笑いながら言う。「たとえば山の中とか、海のそばとか。星の配置に合わせて“響く日”に開くっていうのもいいかも」
「でもそのためには……」アイがふっと視線を遠くにやる。「もう少し、ちゃんと伝えるってこともしなきゃって思ってる」
ミカの声が弾む「うん、私ももっと知りたいと思った!」
アイはうなずいた。
「今までは“感じてもらえればそれでいい”って思ってた。でも、言葉が欲しい人もいる。だから、理屈でつかめる人には、きちんと説明できるようになりたい。
“皇の時代”も、“周波数”も——伝える力を、育てたいの」
「じゃあさ、 ひびきの輪を開催するだけじゃなくて、アイが学んできたことややユウの言葉をZINEにしようよ!」
そのときだった。
アイのスマートフォンに通知が届く。
SNSに、今日の“ひびきの輪”に参加した人が写真と感想を投稿してくれていた。
> 『あの場所で話された“場の周波数”の話、もっと深く聞きたい。
> 理論の勉強会とかあったら、参加してみたいです』
アイが画面を見せると、ミカもユウも目を見合わせて笑った。
「来てるね……次の波が」
「そうだな・・・わたしとあなたが響き合いながら、円になっていく感覚・・・“響環ZINE”ね!」ミカがうれしそうに頷く。
「わたしたちがやってるのって、イベントじゃない。“日常”を変える新しい種まきなんだと思う」アイの声はやさしく、でもどこか芯のある響きだった。
それぞれの場所で

ミカは職場で同僚との会話の中にふとした違和感を感じても、「ほんとの気持ち、私は今のままでいい」と笑顔で添えるようになった。そして“波紋のはじまり”の存在となっていた。
ユウは相変わらず静かに星を読みながら、配信を続けた。
「見えない世界の法則は、空気のようにいつもそこにある。
信じることは、“使い方を知ること”。
信じないことは、“無意識で使っていること”。」
小さな“気づき”のきっかけを運び、世界にそっと問いかけ続けた。

アイは農場のはしっこに、新しい看板を立てた。
小さな木の板に、手書きの文字が並ぶ。
**共鳴の場 ひびきの輪**
― 響き、学び、目覚める場 ―
「次の“響きの会”は、銀河の流れに合わせて開催します」
詳しくは響環ZINEまたはSNSにて。
“理論を語る場”は、もう特別なものじゃない。
これからは、日常の中で自然に——
ひとつの響きのように、伝わっていく。
それが、“皇の時代”のはじまりだった。
〜響環ZINE〜
「だから、“わたしたちの物語”は、ここで終わらない。
響いていく先は、わたしたちじゃなくて、“この小説を読んでいるあなた”にある」
わたしたちは、導く存在ではありません。
ただ、日々を一緒に響いて生きる存在です。
もしあなたが今日、
少しでも心が震えたなら、それが「音なき音」です。
誰かと共鳴したその瞬間、
もうすでに、あなたの中で“ひびきの輪”は始まっているのです。
物語は終わらない。
響きは、あなたへと、今も続いている。
響環ZINE vol.1
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