ミカ、アイ、ユウの三人それぞれが、「まだ見ぬ誰か」との“共鳴”を求めながらも、日常という地平線の中でそれぞれ静かに目覚め始めていた。
共感と共鳴、とてもよく似ていると感じるけど2つはまったく違う意味の言葉。 共感は、感情の共有で「いいね!」と、同じように思うこと。 一方、共鳴は、自分ではない他者の考えや行動に対して、「いいね!」をすること。
【共鳴小説】銀河のリズム、地上の鼓動-わたしたちは響き合うために出会った-1
農場での出会い、響き合う
朝の空気が、土の匂いをまとってゆっくりと広がっていた。
農場の空は、街よりも少しだけ広く、少しだけ高く見える。
木造の古い小屋の前で、三人は初めて顔を合わせた。
「えっと……ミカです。あの、週末だけの……お手伝いに」
ミカは少し早口になりながら、深くお辞儀をした。
手には軍手と、少し緊張が滲んだ笑顔。
「アイです。ようこそ。来てくれてありがとう」
穏やかな口調で、アイが迎える。その目はまっすぐで、どこか懐かしさがあった。
もう一人、少し離れたところで帽子のつばを直していた女性が、静かに言った。
「ユウです。占い師してます。農作業はほとんど初心者だけど、よろしくお願いします。」
その声には、硬さと柔らかさが混じっていた。
互いに笑い、軽く会釈を交わす。
まだ、どこか探り合うような空気が流れている。
最初の共鳴
最初の作業は、畑の土おこし。
無言の時間がしばらく続いたあと、ミカがぽつりとつぶやく。
「……なんか、この土、あったかいね」
「うん、わかる。生きてる、って感じがする」
ユウが続けて言った。その声に、ミカは驚いて振り向く。
少し照れたように目が合い、ふたりは笑いあった。
「土も水も、空気も、ちゃんと意志があるのよ」
アイが手を止めてそう言った。
「意志……?」
「うん。この星に生まれた生命は、全部、つながってる。土の中にある微生物も、風の流れも、私たちと響き合ってるの。感じようとすれば、ちゃんと応えてくれる」
ミカの手が止まる。その言葉に、胸の奥が静かに震えた。
ユウもまた、言葉を選ぶようにして口を開いた。
「それって、“音なき音”ってこと?」
アイは目を見開いた。
「知ってるの?」
「私、森に入ると、ときどき聞こえるの。“音じゃない何か”。だけど誰にも言えなかった」
ミカも顔を上げる。
「なんかすごい…!ユウさん、そういうのわかるんだ。私、全然知らないけど……そういうの、感じてみたいって思う」
「知ってるかどうかより、感じたいって思えることの方が、すごいんだよ」
アイの言葉に、ミカの瞳が輝いた。
風が畑の間をすり抜けていく。
まだぎこちないながらも、三人の間に何かが“ふと”通った。
言葉にならない、でも確かに共鳴する感覚。
それは、初めて土に指を入れたときのような、
どこか懐かしく、けれど新しい“始まり”の音だった。

作業の合間に飲んだ手作りのハーブティー。
小さな花を浮かべたその一杯が、三人の距離を少しだけ近づけてくれた。
「このお茶、味だけじゃなくて、なんか優しいね」
「植物の力って、すごいから。人の感情に響くの。波動って、ちゃんと伝わるんだよ」
「そうか、味じゃなくて、“響き”か」
三人は、違う世界を生きてきた。
だけど今、同じ空の下、同じ土の上で、確かに少しずつ“響き合い”始めていた。
銀河の自転のリズム

焚き火の炎が、パチパチと小さな音を立てる。
三人の影が地面に長く揺れていた。
少し冷たい夜風が通り抜けるたびに、ミカが肩をすくめ、ユウが静かに空を見上げる。
「…夜になると、なんだか心が開くよね」ミカがポツリとつぶやく。
「わかる。昼よりも深い場所で話せる気がする」
ユウも応える。
すると、アイが薪を少し足しながら、静かに言った。
「星を見てるとさ、あれ全部、光のメッセージだって思うの。私たちが思ってるよりずっと前から、“時”を超えて届いてる。」
「メッセージ…?」
「うん。たとえばこの銀河にも、自転のリズムがあるって知ってる? 約5000年で一回自転して、2500年ごとに“昼と夜”が繰り返される。今、わたしたちは“新しい昼”のはじまりにいる。つまりね、“目覚めの時代”に入ったの」
ミカがまじまじとアイを見る。「…それってどういうこと?」
アイは笑って、手元の土をすくって見せる。
「この地球で、これまで人類は夜の時代を生きてきた。土や物質、目に見える世界が中心。でも、これからは昼、つまり高次の心や宇宙のリズムと共鳴して生きる時代に移行する。天と地がまたひとつに繋がるとき。今までと180度変わるの。」
ユウがうなずいた。「それ、私も感じてた…言葉にできなかったけど。目に見えない何かが“変わってきてる”って。自然の中に入ると、音なき音が…増えてる」
「そう。それにちゃんと気づける人たちが少しずつ増えてる。ミカちゃんみたいに、まだ理論を知らなくても“感じられる人”もね」
ミカは、はっとした顔で言った。
「…じゃあ私、変じゃなかったのかな」
「全然、変じゃないよ。ミカちゃんの中には純粋な共鳴のセンサーがある。自分に正直で、それを生きてきた証拠」
焚き火の火が、少し大きく揺れた。
「これからの時代は、“導く人”が偉いんじゃなくて、“共に響く人”が大事なんだと思う。先生と生徒じゃなくて、響き合う仲間」
ユウがしみじみ言った。
「…じゃあ、私ももう、自分の感覚を隠さなくていいのかもしれない。見えることも、感じることも…」
「うん。全部、ギフトなんだと思うよ」
三人はしばらく黙って空を見上げた。
星々が、まるで答えるようにまたたいていた。
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