銀河のリズム、地上の鼓動 ―魂職に出会うまで⑧ 皇の時代は自立共育

共鳴小説
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焚き火の火が少し落ち着いたころ、つむぎの母・尚子(なおこ)が、そっと輪の中で肩の力を抜いたように息を吐いた。

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やさしい問いが、扉をひらく

娘のつむぎが、自分から「絵を描くのが好き」と口にしたのを聞いたとき、思わず胸が熱くなった。
つむぎがあんなふうに自分のことを話すなんて、久しぶりだった。

(この子、少しずつだけど、変わってきてるのかもしれない…)

尚子は、第一回のひびきの輪の帰り道、つむぎの目の奥に、わずかだけれど光のようなものを感じていた。
でもそれでも、「やっぱり学校には行かせないと」「将来のために普通に戻らなくちゃ」と、心のどこかで焦っていた。

周囲の目、親戚からの言葉、夫の表情。
“娘のため”と言いながら、実は自分自身が不安を抱えていたのだと気づき始めていた。

学校に行かない子どもたち

アイが、柔らかな声で言葉を継いだ。

「…たぶん私たちの多くが育ってきた“祖の時代”は、“ちゃんとしなきゃ”“普通はこうでしょ”“これが正解”って、周囲に合わせて従って生きることが当たり前だった」

尚子は、まるで自分に向けられた言葉のように感じて、思わず目を伏せた。

「でも、“皇の時代”は、きっともっとおおらかで自由。
比べなくていいし、答えも一つじゃない。自分の感覚を信じて、自分のリズムで生きていい時代」

アイの視線がふわりと輪を包み込むように巡り、尚子の目と、ふと合った。

「子どもたちは、もうその新しい時代の感覚を持って生まれてきてる。
だから、私たち大人の側が“何が正しいか”じゃなくて、“この子が本来持っているもの”を信じてみること。
それが、いちばんの後押しになるんじゃないかなって思うんです」

その言葉に、尚子の中で何かがほどけるような感覚があった。

(自由で、いいんだ…)

思い返せば、つむぎは幼いころから、静かな場所で空を見上げている子だった。虫や草花にも詳しくて、自分の世界をじっと見つめていた。
“どうしてみんなと同じにできないの?”と、問いかけるような瞳を、何度投げかけてしまっただろう。

つむぎの奥にあったのは、「できない」のではなく、「もうすでに、自分の感性を持っている」ということだったのかもしれない。

尚子はそっと、つむぎの隣に置いた手に触れた。
つむぎがちらりと見上げて、少し驚いたように笑う。

その笑顔は、確かに前よりも軽やかだった。

「ごめんね」と言葉にする代わりに、尚子は手を優しく握り返した。

この子はこの子のままで、大丈夫。
今までは“導く”つもりで、“守る”つもりで、焦っていたけど――

これからは、「尊重して、見守る」。
それが、わたしにできることだと、静かに思えた。

輪の中の火が、ぱちんと音を立てた。
それは、母と娘の間にあった見えない壁が、ひとつ溶けていく音のようだった。

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