銀河のリズム、地上の鼓動 ―魂職に出会うまで⑦祖の時代の終焉と皇の時代の芽吹

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「ひびきの輪」第2回・続き

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古いものが壊れるとき、ほんとうの種が芽を出す

焚き火の火が少しだけはぜた音がして、つむぎがその音に目を向けた。
赤く揺れる火の中には、何かが終わって、何かが始まろうとしているような気配があった。

その沈黙の中で、アイがぽつりと口を開いた。

「みなさんは、最近“うまくいかなくなったな”とか、“前はこれで回ってたのに”って感じることありませんか?」

梨乃がそっと頷いた。「あるかも。前まで頑張れば何とかなる、って信じてたのに、今は頑張ってもうまくいかないことが増えた」

「私も…」と、つむぎが続いた。「小学校は楽しく通えてたのに、中学校には行けなくなっちゃって…」

アイは、うんうんと頷いたあと、あたたかい声で言った。

「わたしね、農業を通してすごく感じてることがあって、季節って、ただ移り変わるんじゃなくて、“壊れる”っていう時間があるんですよね。種を植えて発芽がする前には、土の中で根が育っていく。葉が茂る、花が咲く、実をつけるなどの時期を過ぎると、植物は枯死します。そうしてまた次の新しいサイクルが始まる」

静かな空気の中で、誰かが息を飲んだ音がした。

「今は、“祖の時代”――昔からの価値観とか、正解とか、“こうでなきゃ”っていう生き方が、どんどん壊れてきてる。“いい学校出て、ちゃんとした会社に入って、我慢して安定を手に入れる”って、昔は“正解”って言われてた。でも今は、そのルート自体が崩れてきている時なんだと思っています。」

ミカが小さく頷いた。「うん、だからこそ、“ほんとは何がしたい?”って、自分の声に耳をすませることが大事なんだね」

ユウが、火を見つめながら静かに言った。

「壊れるのって、こわい。でも、壊れるからこそ、本当に必要なものが残るんだよね。魂職って、“新しい何かになる”ことじゃなくて、“ほんとは昔からあったものに、やっとたどりつく”ってことかもしれない」

「それって…」梨乃がゆっくりと口を開く。「子どもの頃に“こうなりたい”って思ってたこと、みたいなことも関係あるかな?」

「そうそう」アイが微笑んだ。「そこにちゃんと、種があったんだよ」

「私、小さい頃、“保育園の先生になりたい”って思ってたの。ずっと忘れてたけど、今日、つむぎちゃんに会えて思い出した」

梨乃のその言葉に、輪の中にいた全員がふと、懐かしい何かに触れたような空気を感じた。

「でも、これからは、ただ“保育士になる”っていう形じゃない気もしてて。もっと自由な、子どもとの関わり方というか…言葉にならないんだけど」

「うん、それでいいと思います」ユウがにっこりと笑う。「“職業”じゃなくて、“在り方”なんですよね。“自分らしさ”を生かして、誰かと響き合ってる時間。それがきっと魂の表現で魂職なんだと思うんです」

「祖の時代が終わるってことは、“肩書き”とか“立場”じゃなくて、“自分自身としてそこにいるか”が問われるようになるってことだと思います」
アイの言葉は、しっかりとした地面のように、みんなの胸に届いた。

 

そして、しばらくの沈黙のあと、ミカがふとつぶやいた。

「火が、きれいだね。あったかくて、でも燃やしてるんだね、いろんなものを」

その炎の揺らめきの中で、誰もが過去の“こうあるべき”をそっと手放していた。
声に出さなくても、確かに“終わり”が始まっていた。

そして、その先に。
やがて芽吹く、“ほんとうの自分”を生きる時代が、静かに、でも確実に待っているのだった。

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