銀河のリズム、地上の鼓動 ―魂職に出会うまで⑨響きの余白

共鳴小説
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「…これ、描いてみたんです」 ひびきの輪の帰り道。つむぎは、小さなスケッチブックをそっとミカに差し出した。

ミカがページを開くと、そこには、柔らかい色鉛筆で描かれた絵があった。 優しい空のグラデーション。まあるい丘の上に、ぽつんと立つ大きな木。その木の下には輪になって座っている人たちの姿。よく見ると、それは「ひびきの輪」の風景だった。

「わあ…」ミカは目を細めた。

「これ、つむぎちゃんが描いたの?すっごくあったかい」 「なんか、ここにいると、ただ“いられる”って感じがして…それを描きたくて」 つむぎは恥ずかしそうにうつむいたけれど、どこか晴れやかな表情だった。

「これ、ZINEに載せたいな!」ミカがすぐに提案した。「“言葉じゃない表現”って、すごく響くと思う。たとえば、今回のZINEの最後のページに、“感じたことの絵”として…どうかな?」

「……いいんですか?」つむぎは戸惑いながらも、瞳の奥がきらりと光った。

「もちろん!ZINEって、こういう“ひとりひとりの響き”をカタチにするものだから」ミカはにっこりと微笑んだ。

ミカの提案に、つむぎは小さくうなずいた。

「でも……わたし、ちゃんとした美術の勉強とかしてないし、学校にも行ってないし…描くのは好きで…」

「それでじゅうぶんだよ」ミカは優しく言った。「“好き”って、いちばんの才能だと思う。“こうでなきゃ”って思いがちなものも、ここでは“そのままでいい”って伝えたいの。だからZINEに載せようって思ったのは、自然なことなんだよ」

その言葉に、つむぎの中の何かがふっとほどけた。

***

後日、ZINE編集ミーティング。

ミカがスケッチブックをそっと開いて、アイとユウの前に見せた。

「これ、つむぎちゃんが“ひびきの輪”のあとに描いた絵。言葉じゃなくて、“ただ在る”っていう感覚がすごく伝わってきて…最後のページに載せたいなって思って」

アイは目を細めながら、絵に見入った。

「…すごいね。見た瞬間に、空気がふわっと変わった感じがした。“ことばの前にあるもの”って、こういうことなんだろうな」

ユウも、静かにうなずいた。

「“感じる”って、意識より前にある波。絵には、その波動がそのまま乗るのかもしれないね」

3人の間に、あたたかい静けさが流れた。

「じゃあ、ZINEの最後のページ。“響きの余白”って名前にして、この絵と、つむぎちゃんの小さなひとことを添えようよ」ミカが提案した。

「いいね。“余白”って、まさに“在ることをゆるす”っていう感じがする」

アイが、絵に寄り添うような書体でタイトルを書き込み始めた。

 ――響きの余白
  ただここにいるだけで、感じられたこと
  描いたのは、つむぎさん

数日後、刷り上がったZINEを手にしたつむぎは、自分の描いた絵が最後のページに丁寧に載っているのを見て、胸がいっぱいになった。

(ああ、わたし…わたしのままでいていいんだ)

言葉にしなくても届くものがある。
そのことを、ひびきの輪が教えてくれていた。

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