銀河のリズム、地上の鼓動 ―魂職に出会うまで ―①ひびきの輪をもう一度
ZINEの原稿づくりのため、三人はアイの農場の小さな古民家に集まっていた。
テーブルには、温かいハーブティーとアイが焼いたサツマイモのタルト。窓の外には、夕暮れの柔らかな光が畑を照らしていた。
魂職ってよくわからない
「“魂職ってよくわからない”って、ミカが素直に聞いてくれて助かったなぁ」
アイが笑いながらそう言うと、ミカは少し照れくさそうに首をすくめた。
「だって、言葉は響くんだけど…正直、まだぼんやりしてて。でも、二人の話聞いてると、なんとなく感じられてきた気がしてる」
「うんうん。実はね、祖の時代って、“魂職”には出会えなかったんだよ」
アイは手元のノートに、円の中心から線が伸びていく図を描いた。
「祖の時代はピラミッド型で、支配者を民衆が信じて従う時代。低次物質文明を発展させるために一方向性社会だったの。上から与えられるのが当たり前だった。親や学校、社会が“こうしなさい”って決めてきた。それに従うのが良い子とされてきたよね。教育で均一的な人間を作ってきた。でも、皇の時代は違う」
アイはハーブティーを一口飲んで続けた。「魂職が見つかったら、寝食を忘れるくらいに楽しくて、やればやるほどに元気になるんだって」
ミカは目を丸くした。「最近よく聞く”好きなこと”を仕事にみたいな話?」
「その流れには、新しい時代への変化の兆しを感じるよね」
アイの声には確信がこもっていた。「でも、自然は皇に変わっているのだけど、世の中にまだ祖がたくさん残っているから、祖のモノ、コト、人が浄化されないと皇のモノは出てこられない。だからまだ焦らなくても大丈夫」
「ほんとに、そこだよね…」と、ユウが深くうなずいた。「2025年って、実は天体の動きがものすごく大きくて。“破壊と再生”の配置が重なってて、まさに“転換期の真っ最中”なの。理由はわかってなくても、無意識にそのエネルギーを感じ取って、不安定になってる人が多い」
ミカが小さく「あ…なんかわかる」とつぶやいた。「今まで平気だったことが、急にしんどくなったり、人とも合わないって感じたり…」
「そう。それって、魂が“もうそろそろ本当の道に戻って”ってサインを出してるんだよ」ユウは静かに続けた。
「だからこそ、自分のエネルギーを整えることが大切なの。自分がどんな波動を出してるか、何を引き寄せてるか。その状態で、魂職にも出会いやすくなるんだよね」
「なるほどなあ…」ミカは湯気の立つカップを両手で包んだ。「なんか、ZINEって、“わたし自身の学びノート”みたい」
「うん。私にとっても理論や自分の考えを再確認するいい機会になってる」アイが穏やかに微笑む。
「そして、それを読んでくれた誰かが、自分の中に眠ってた“魂の灯”を思い出すかもしれない」ユウも頷いた。
「うわ、それって、すごいことだよね…」ミカは頬を紅潮させた。ユウとアイは目を見合わせて、ふふっと微笑んだ。
「さて、第二回目のひびきの輪で響環ZINEの3号を手渡せるように制作しよう」
夕暮れの光の中で、ZINEという形を通して三人の魂が少しずつ重なり始めていた。それはただの冊子ではなく、“新しい時代の響き”を運ぶ、目に見えない種子だった。