湖畔のペンションから戻った翌朝。
農場の空は、夏の光をいっぱいに受けて澄み渡っていた。
アイは、朝露に濡れた草を踏みながら、母が畑で雑草を抜いている姿に近づいた。
「……お母さん、ちょっと話していい?」
母は手を止めて振り向き、うなずいた。
「うん、もちろん」
アイは立ったまま、少しの沈黙のあと、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「わたし…この農場を引き継ごうと思ってやってきたけど…本当は、農業そのものがやりたかったわけじゃなかったんだと思う」
母は、目を細めて優しく頷いた。
「……気づいたのね」
「うん。本当にわたしがやりたいのは、農を通して理論や時代の転換を深めること。それを実際の生き方に落とし込みたいし、知識を得るほどに自然の美しさに感動するの。その感動を誰かと分かち合っていきたい。農業はあくまで、それを支えるための手段だったんだって気づいたの」
すると、奥から父がやってきて、静かに会話に加わった。
「それを、自分の口で言えたのが、すごいことだと思うぞ」
アイは驚いたように父を見る。
「……怒らないの?」
父はふっと笑った。
「最初から、アイが農業を本当にやりたいわけじゃないことは、うすうす感じてた。
でも、自分で気づくまでは、俺たちからは何も言わなかった。おせっかいじゃない、見守る愛ってやつだな」
母も優しく微笑んだ。
「親ってね、自分の考えを押しつけたくなっちゃう時がある。でも、皇の時代にはそれはもう古いやり方。
信じて待つ。それが本当に、子どもを尊重するってことだと思ってるの」
アイの目に、静かに涙が浮かぶ。
「ありがとう…ちゃんと見てくれてたんだね。わたし、自立するってこういうことなんだって、今ようやくわかった気がする」
しばらく沈黙が流れたあと、父がふと口を開いた。
「……実は俺もな、本当はずっと理論の研究がやりたかった」
「え?」
「この土地で農業を始めたのも、自然の循環の中に何か大きな法則がある気がしてな。
それを見つけたくて、手を動かしてきた。でも、生活に追われてるうちに、研究する時間も気力もどんどん遠のいてしまって…」
アイは、父の言葉に息を呑む。
「じゃあ、お父さんも…?」
「うん。ほんとは、農場を研究所みたいにしたいんだ。
土の波動や季節のバランス、意図の持ち方と作物の育ち方の相関……。でも、正直まだまだ先の話だ。金も時間も、全然足りない」
「……それでも、夢なんだね?」
「ああ。一番やりたいことだからな」
アイの胸に、あたたかな火が灯るのを感じた。
「研究はわたしもやりたい。じゃあ、今すぐできることから始めようよ」
「たとえば?」
「理論や実験、気づきをまとめたホームページを作るの。まずはわたしたち親子が、この農場で何を見て、何を考えているのかを、記録にして発信していこう」
父は少し驚いたように目を丸くし、そしてうれしそうに笑った。
「……いいな。それはすぐにでも始められる」
「私、トップページの文章、書くよ。
この農場は、地球と人が響き合う“ラボ”であり、日々の営みの中に宇宙の法則を見つけていく場所ですって」
母が思わず拍手し、笑いながら言った。
「なんて素敵なの。あんたたち、もう“研究家ファミリー”ね」
3人は笑い合った。
目の前の土は何も変わっていないのに、世界の色が少し違って見えた。
──農業という手段の奥にあった“本当の願い”に出会えたとき、
それは静かだけれど、確かな次元上昇だった。
そして、その第一歩が、“言葉でまとめ、発信すること”という形をとって始まっていく。
共鳴小説:銀河のリズム、地上の鼓動
【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき①本音の扉が開く時[共鳴小説]
【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき②リトリート1日目~ 湖畔の再会[共鳴小説]
【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき③リトリート2日目~本音という光を携えて
【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき④ 満月の前の静寂
【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき⑤魂の記憶が目を覚ます時
【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき⑥リトリート3日目・夜明けの夢
【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき⑦周波数の記憶
銀河のリズム、地上の鼓動-わたしたちは響き合うために出会った-をキャッチしてくださったあなたへ
銀河のリズム、地上の鼓動 ― 魂職に出会うまで ―ひびきの輪の後で④揺らぎの中で見つめるもの
銀河のリズム、地上の鼓動―魂職に出会うまで―ひびきの輪の後で⑤見えていなかった波
X:ピース・ウーマン(@aIRJW4zvMaRGE4N)私達はこの地球に住むみんなが 調和して、自分達が思う幸せであることを望んでいます。 それには地球という体験の場所を大切にする。 そして、そのためにこれから先もどんな事をしていけば良いのか知ること、そしてそれを伝えて行きます。

