ユウとアイと3人で湖畔のペンションにリトリートに行くことが決まった。
農場でのアイとのやりとりを思い出す。その日の夜にすぐ「ごめんね」とメッセージを送ったけど、農場からミカの心は遠のいていた。
銀河のリズム、地上の鼓動―魂職に出会うまで ―ひびきの輪の後で②触れてほしくなかった場所
周囲とのズレ〜不協和音〜
アイとユウと出会い、ひびきの輪を開催し、響環ZINEをつくる中で、ミカは普段もますます自分らしく、軽やかに仕事をすることに喜びを感じていた。
テレアポの業務中も、心を整えた柔らかな響きを声にのせると、相手の反応がどこか違ってくるのがわかる。効率や数字だけではなく、”今この瞬間を楽しむ” という感覚で仕事に向き合うことで、内側からふわっとあたたかいものが湧いてくる。
「きっと、これが“波動”ってことなんだろうなぁ」
そう思うと、会社の中でひとりにやけそうになる。
けれど――
「……またミカさん、ひとりだけ楽しそうね」
「なんか、空気読んでないっていうか。浮いてるよね」
ふとした雑談の中に、棘のような言葉が混じってくる時があった。
明るく過ごすことが、なぜか誰かの神経を逆撫でする。
(別に何もしてないのに……なんで?)
ミカの中に、さざ波のようなざわめきが広がる。
「最近、楽しみながら仕事をするコツを見つけたの。それが何か悪い?」ぽろりと、口をついて出たその言葉に、自分でも驚いた。
その場の空気が、ピリリと凍る。
「……なにそれ、自分だけ正しいみたいな言い方」
ミカはその反応に、しまったと思った。
言いたかったのは「自分責任で現実を選んでる」っていう感覚。でも、今のこの言い方では、ただの“上から目線”に聞こえてしまう。
言葉がうまく届かない。わかってほしい気持ちが、また別の壁を生んでしまう。
休憩時間、ひとり屋上に出て、空を見上げる。
白い雲が、ゆっくり流れていた。
「心地よくいたいって思うのは、間違ってるのかな……」
「周りと調和するって、我慢することなの?」
心の中で葛藤が渦巻く。
でも、ふと風が頬をなでた瞬間、ミカは深く息を吸った。
(でも私は、やっぱり“皇の時代”を軸にしたい)
「楽しいが大事ってアイが教えてくれたもんね。楽しいを続けて、私も早く魂職に出会いたいわ」
その思いは、まだ確信にはなっていなかったけれど、しっかりと芯の部分で灯り続けていた。
************************
土と風と水と光、そして共鳴する仲間たち。
(やっぱり私は、新しい“皇の時代”を楽しく生きたい)
(どんなに周りと違っても、自分の中の「響き」を信じたい)
それなのに、何気ない自分の一言でアイを怒らせてしまったことには驚いた・・・
「ミカはさ、楽しいことだけやってればいいと思ってるから、
本気で生きる覚悟がないんだよ。だから魂職が見つからないんじゃないの?」
アイの言葉の意味が理解できずにいた。
関連記事:3人が出会う前の物語
火の章
共鳴小説『三つの種、響きのはじまり ― 銀河のリズムの前奏曲 ―』火の章 こころの灯火をたどって①
共鳴小説『三つの種、響きのはじまり ― 銀河のリズムの前奏曲 ―』火の章 こころの灯火をたどって②
共鳴小説『三つの種、響きのはじまり ― 銀河のリズムの前奏曲 ―』火の章 こころの灯火をたどって③
地の章
共鳴小説『三つの種、響きのはじまり ― 銀河のリズムの前奏曲 ―』地の章 ①大地の声に気づくまで
共鳴小説『三つの種、響きのはじまり ― 銀河のリズムの前奏曲 ―』地の章 ②土の声に耳をすませて
共鳴小説『三つの種、響きのはじまり ― 銀河のリズムの前奏曲 ―』地の章③根の声を聴く
風の章
共鳴小説『三つの種、響きのはじまり ― 銀河のリズムの前奏曲 ―』風の章 ―見えない音に導かれて―①