共鳴小説『三つの種、響きのはじまり ― 銀河のリズムの前奏曲 ―』火の章 こころの灯火をたどって②

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2023年3月13日にマスク着用が個人の判断である事が通達され、5月8日に感染症分類が5類に格下げされた。「新型コロナとの戦い」と銘打って多くの人達が振り上げていた拳がしれ〜っと下ろされ、おおよそ3年間の騒動が終わっていった。

戦いには勝ったのだろうか?負けたのだろうか?そもそも戦う必要などあったのだろうか?

そんなこともわからないまま、「以前」を取り返すように追い立てられる毎日が始まった。

共鳴小説『三つの種、響きのはじまり ― 銀河のリズムの前奏曲 ―』火の章 こころの灯火をたどって①

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第二章 ふらりと出会った風景

「地球とつながる2泊3日の農体験。土に触れ、心をひらく時間。」

@ai_field_life
(ここ……行ってみようかな)

その文字が目に入ったのは、何気なくSNSを眺めていた昼休みのことだった。
“心をひらく”という言葉と、草の上のてんとう虫の写真につい微笑みがこぼれる。

(子どもの頃、虫と話せる気がしてたっけ)

ミカの指は思わず「参加」のボタンを押していた。

理屈じゃなかった。
頭ではわからないけど、心が「ここだよ」って言ってるような、そんな感覚。胸が、小さく“ドクン”と鳴った。それは「違和感の中にあった鼓動」が、動き始めた合図だった。

週末、電車を乗り継ぎ、たどり着いたその農場は、
都会のざわめきとはまったく違う空気に満ちていた。
空が広い。風がやさしい。
耳をすませば、木の葉のそよぐ音や、小鳥の鳴き声が自然と響いてくる.

「こんにちは。ミカさん、はじめまして」
そう言って迎えてくれたのは、少し日に焼けた落ち着いた雰囲気の女性――アイだった。

最初の作業は、畑の土おこし。作業の合間に、アイはいろんな話をしてくれた。
「自然に逆らわず、ただ調和していく。農業って、そういうものなんだと思う」
「この畑は、わたしに“生きること”を教えてくれる場所でもあるんだよ」
心に、すうっと入ってくる言葉だった。
聞いているだけで、自分の中のなにかが“ほっ”と緩むのを感じた。

「……なんか、この土、あったかいね」

「うん、わかる。生きてる、って感じがする」

農体験にはもう一人ユウという女性が参加していた。占い師をしているのだいう。
少し遠くを見るような瞳のその人は、不思議な静けさをまとっていた。

「この間の満月、すごく強いメッセージがあったんです」
ユウは、星の話をしてくれた。
「今ってね、時代の大きな切り替わりにいるの。だから、なんとなく不安になったり、
意味もなく落ち着かない人が多い。でも、星たちはちゃんと“大丈夫”って伝えてくれてる」

ミカは驚いた。星が、そんなふうに語りかけてくるなんて。
「星が言ってるって、どういうことなんですか?」
興味があふれて、思わず身を乗り出していた。
ユウはやさしく微笑みながら言った。
「“音”があるの。目には見えないけど、心で聴こえる音。
ミカさんも、きっと感じてるんじゃないかな。そういう“音”」

――音。
確かに、自分は昔から「音」が気になる子どもだった。
風の音、水の音、人の声。そこに何かがある気がしていた。
ミカの中に、何かが点火された。
これまで知らなかった世界。だけど、どこか懐かしい感覚。

“もっと知りたい。もっと、この人たちの話を聞いていたい”
そう思った瞬間、胸の奥で「ぽっ」と、小さな灯がともった。
言葉にするのはまだ難しいけれど、
この感覚を忘れたくない。大事にしたい。

ミカはその夜、
Instagramにそっと書き込みをした。
「今日、わたしの心に火が灯った気がする」

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銀河のリズム、地上の鼓動-わたしたちは響き合うために出会った-をキャッチしてくださったあなたへ

X:ピース・ウーマン(@aIRJW4zvMaRGE4N私達はこの地球に住むみんなが 調和して、自分達が思う幸せであることを望んでいます。 それには地球という体験の場所を大切にする。 そして、そのためにこれから先もどんな事をしていけば良いのか知ること、そしてそれを伝えて行きます。

 

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