アイとユウとミカの3人が出会う前のそれぞれのストーリー。
それなりに楽しい毎日なのに 心の奥にある違和感。ミカの違和感がはっきりと広がったのはコロナ禍の時でした。
火の章 ―こころの灯火をたどって―
第一章 いつもの毎日、でもどこか足りない
「ミカって、ほんとマイペースだよね。悩みなそうでいいなぁ」
大学の友人にそう言われるたびに、ミカは笑って返していた。
「悩みがなさそう」って、褒め言葉? それとも…ちょっとズレてるってこと?
でも、確かに自分でもわかっていた。
周りと同じようにするのが苦手だったし、興味があることがどこか独特だった。
人の声に耳を澄ますのが好き。
風に揺れる木の葉の音、雨の落ちるリズム、
ひとつひとつに物語を感じるような子どもだった。
就職したテレアポの仕事は、声だけで人とつながるという意味では嫌いじゃなかった。 でも、決まった台本を読み続ける日々には、いつしか退屈を覚えていた。心はどこか「感じること」を求めていた。
同僚が昇進や資格の話で盛り上がっていても、
「えらくなりたくてわたしは働いているのかな?」と、ふと立ち止まってしまう。
やりたいことがないわけじゃない。
でも、「これが絶対にやりたい!」ってものも、なかった。
毎日がそれなりに楽しいのに、
心の奥で、何かがずっと問いかけてくる。
——このままで、本当にいいの?
その問いは、ミカの内側で小さな火種のように燻り続けていた。
ミカの胸の奥にくすぶっていた違和感が、はっきりと心の奥底で広がったのは、コロナの時だった。
職場に通勤しない休みの時間が増えた。SNSにはさまざまなニュースが飛び交っている。見知らぬ人同士が激しく言い争いをする投稿、物騒なニュースが次々と目に入ってくる。「マスク警察」や「自粛警察」と呼ばれる人々が、些細な違反を許さないかのように正義の言葉を投げかける光景もあった。
不安、恐怖、怒りに震える言葉が次々と流れてくる。そこにあるのは、人と人の間に生まれたすれ違いと冷たさ、そして分断の風景だった。誰かを批判する声、罵り合う言葉の応酬。まるで見えない壁が作られて、人々がお互いに心を閉ざしてしまったかのようだ。
「こんな世の中に、何の意味があるのだろう……」。画面の向こう側で誰かが泣き、また別の誰かが傷つけられている。
「人って、もっと優しくつながれるはずなのに」。 抱きしめるようにコーヒーカップを両手で包む。ミカの胸にじんわりとした思いが広がる。
その気持ちを胸に、ミカは手にしたスマートフォンの画面を流し見た。頭の片隅にちらつく不安や疑問、モヤモヤとした感情が、ミカの心の奥で静かにうねり始めていた。それはほんの小さな声だった――彼女はまだそれが何なのか、うまく言葉にはできなかった。
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X:ピース・ウーマン(@aIRJW4zvMaRGE4N)私達はこの地球に住むみんなが 調和して、自分達が思う幸せであることを望んでいます。 それには地球という体験の場所を大切にする。 そして、そのためにこれから先もどんな事をしていけば良いのか知ること、そしてそれを伝えて行きます。