共鳴小説【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき⑦周波数の記憶

共鳴小説
スポンサーリンク

~リトリート3日目・午後~

チェックアウトの時間が近づき、3人はゆっくりと荷物をまとめていた。
ふと、リビングから柔らかな弦の音が聞こえてきた。

「……ギター?」

ミカがそっとのぞくと、ご主人が古びたクラシックギターを膝に乗せて、何気なく爪弾いている。

「わあ…」

「音って、不思議ですよね」

ユウがつぶやくと、ご主人が笑ってこちらを向いた。

「音はね、周波数なんだよ。言葉になる前の“波”だ」

「周波数…」ミカが小さく繰り返す。

「人の声も、心も、全部それぞれ固有の周波数を持っている。調和すれば、共鳴が起きる。逆にズレてると、不協和音になる。…でも、同じ“音”を持つ魂たちは、自然と惹かれ合うものなんだ」

「まるで…わたしたちのことみたい」

アイが小さくつぶやいた。

ご主人は笑って、さらに弦をなでるように鳴らした。

すると、奥から奥さんが姿を現した。目を細めながら、彼の演奏に耳を澄ませている。

「ねえ、あなた。あの曲、久しぶりに弾いてあげたら?」

「いいね。君の声、響かせてあげて」

奥さんは少し照れながらも、真っ直ぐに立って、歌い出した。

 

遥かな星の 記憶をたどる
水面に揺れる ひとしずくの音
かすかな光 忘れた名を呼ぶ
あなたはもう 知っている
どこから来て どこへ還るのか

風を越えて 時を越えて
響きはふたたび巡りあう
いま その胸の奥
眠るこだまに 耳を澄ませて
目覚めの歌が あなたを包む

 

3人は、まるで時間が止まったように、その歌に聴き入った。
ミカの目に、自然と涙がにじんでいた。
それは悲しみではなく、ただ「懐かしい」と感じたから。

歌が終わると、しばらく誰も言葉を発さなかった。

ようやくミカが小さく言った。

「今朝の夢の歌みたい……すごく、懐かしい気がしました。」

「わたしも…どこかで、聴いたことがあるような」

ユウが首を傾げ、アイも静かにうなずいた。

奥さんは、ふふっと微笑んだ。

「きっとね、あなたたちの魂が覚えていたのよ。…だって、うちのペンションに来る人たちは、ただの“お客さん”じゃないもの」

ご主人がギターを優しく撫でながら、続けた。

「ここに来るってことは、何かしら魂の縁があるってこと。だから、こうしてまた出会えた。必要なときに、必要な仲間と、必要な場所でね」

「……また、来てもいいですか?」

ミカが、ぽつりと聞いた。

奥さんはまっすぐにミカの目を見つめて、力強くうなずいた。

「もちろん。いつでもいらっしゃい。ここは“響き”を思い出す場所。あなたたちの音が、必要になったら、またきっと呼ばれるから」

3人は、胸いっぱいの思いを抱きながら、深く礼をした。

ペンションを出ると、湖面にまぶしい光が反射していた。
まるで、彼女たちの旅立ちを祝福しているかのように。

「ここに来て、よかったね」

「うん……ここから、“本当の旅”が始まる気がする」

それぞれの手のひらに、まだギターの余韻と歌の響きが、静かに残っていた。

スポンサーリンク

共鳴小説:銀河のリズム、地上の鼓動

【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき①本音の扉が開く時[共鳴小説]

【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき②リトリート1日目~ 湖畔の再会[共鳴小説]

【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき③リトリート2日目~本音という光を携えて

【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき④ 満月の前の静寂

【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき⑤魂の記憶が目を覚ます時 

【皇の時代】魂の旋律が、言葉を超えて触れ合うとき⑥リトリート3日目・夜明けの夢 

銀河のリズム、地上の鼓動-わたしたちは響き合うために出会った-をキャッチしてくださったあなたへ

銀河のリズム、地上の鼓動 ― 魂職に出会うまで ―ひびきの輪の後で④揺らぎの中で見つめるもの

銀河のリズム、地上の鼓動―魂職に出会うまで―ひびきの輪の後で⑤見えていなかった波 

タイトルとURLをコピーしました