皇の時代の日々『日常に広がる光と響き』④内なる神の祝宴 ひびきの収穫祭

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皇の時代の日々『日常に広がる光と響き 』②アイからの今ここを味わう収穫祭への招待状 

皇の時代の日々『日常に広がる光と響き』③あの場所からの手紙 

秋の光がやわらかく畑を包み、黄金色の木々の葉が風に揺れていた。
農場の敷地には誠一の手作りのベンチと椅子が並べられ、木の香りがあたりに広がっている。
今日はひびきの収穫祭――皇の時代の訪れを祝う日だ。

「わぁ、すごいね」
つむぎの声に、尚子は頷いた。
「ほんと。輪が広がったね」

焚き火のまわりでは笑い声が響き、手作りの料理が並ぶテーブルには、季節の野菜や焼きたてのパン、色とりどりの果物が並んでいた。
志穂と久美子は、畑で採れた野菜をふんだんに使ったスープをよそいながら、訪れる人を迎えている。
その光景を見て、尚子がぽつりと言った。

「ねえ健司、私ね、この農場みたいな場所を作りたいの」
「場所?」
「うん。私が料理を作って、来た人がほっとできるカフェ。つむぎが学校に行っても行かなくても、自分のペースで過ごせる場所。そんな空間をね」
「いいじゃないか。俺も椅子でも棚でも作るよ」
健司の笑顔に、尚子の胸の奥があたたかくなった。
この夢の話を口に出せたこと、それを受け入れてくれる人がいることが、何より嬉しかった。

近くでは、梨乃が穏やかな笑顔でカズオや誠一たちと話していた。
「会社で、子ども目線の提案を出したことがきっかけで、社内保育園プロジェクトが立ちあがって、私、その部署のリーダーになったんです」
「すばらしい提案でしたね」
「はい。それが私自身の癒しにもなっていて。小さい頃、保育園に預けられて寂しかった気持ちと、でも、その時間が大好きだったっていう気持ちを、今しっかり抱きしめてあげられている気がするんです。」
梨乃の瞳には、過去と今がひとつに溶け合うような静かな光が宿っていた。

少し離れた場所では、美咲が花びらを並べていた。
「この収穫祭のエネルギーを閉じ込めたフラワーエッセンスを作りますね。今日の空気と光の響きをみなさんに持ち帰ってほしくて」
その透明な瓶は、まるで祝福のしずくのように輝いていた。

つむぎはテーブルの端で、自分の描いた絵を小さな栞にして並べていた。
「この栞を、みなさんにプレゼントしたいです!」
絵の中には、光の糸でつながる人々が笑っている。
「つむぎちゃん、ありがとう!」と声をかける大人たちに、彼女は少し照れながら微笑んだ。

ユウは焚き火のそばに小さな星図を広げ、参加者一人ひとりに「来年の星の流れ」を伝えていた。
「あなたの星は、これから充足のサイクルに入ります」
その穏やかな声は、聴く人の心を柔らかく照らしていた。

ミカはワインの瓶と焼き菓子の包みを抱えながら、少し離れた場所で皆の様子を見ていた。
みんなが自分の手で何かを生み出し、分かち合っている。
それを見ていると、心の奥に小さなざわめきが生まれる。
(私も、いつか自分の手から何かを生み出したい)
それは焦りではなく、魂の奥からそっと灯った小さな炎のようだった。

焚き火の火が空へと舞い上がり、少しずつ降りてくる。
それぞれが持ち寄った料理や贈り物を分け合いながら、あちこちで笑い声が風に乗って弾けた。そして、話題は自然と「これから、どう過ごしていきたいか」へと広がっていった。

「わたし、ご近所の方が気楽に集えるカフェを開きたいって思うようになって」尚子が言うと、アイがうなずいた。
「すてきですね。何かを始めるときは、どうなるかより、どんな気持ちで始めるかが大事ですよね」

「うん。わかる気がする。始めかたが、終わりかた。」ミカが笑う。
「焦った気持ちで動くと、その波動がそのまま現実に映るもんね」

「だから、まずはうれしいとか楽しみの気持ちを育てるところからですね。今日の祝福のエネルギーを存分に味わってくださいね!」
ユウがやさしく言葉を添えた。
「そのエネルギーが根っこになって、自然と形ができていきますよ」

テーブルの上のグラスが、午後の光を受けてきらりと光る。

アイが穏やかな声で言った。
「今、ここにあるすべてが実りです。
 わたしたちは、自らの光で互いを照らし合う。時代の最先端にいますよね」

誰もが静かにうなずき、その言葉に風がふっと吹き抜けた。
それはまるで、宇宙そのものが祝福の歌を奏でているようだった。

誰もがそれぞれの場所で、自分の魂職に出会おうとしている。
それぞれが響き合い、光を持ち寄って創る、新しい時代の形。

「2500年の昼と夜のサイクルのお話しはしましたが、もっと大きな宇宙プログラムの7京年サイクルと77京年のサイクルの変化も重なっていることは、初めてお話ししますよね」とアイの声が、光に溶けていった。
その瞬間、場の空気が静かに震えるように感じられた。

「人間はこれから、神様が担ってきた世界を創る仕事を、
 自らの意識で行うようになります。
 もう、外側の神に願う時代は終わりつつあるんです」

ミカがゆっくりとうなずいた。

「皇の時代とは、まさにその内なる神の働きを日常に取り戻す時代です。神様のような天国での暮らしができる人は、今もうすでに皇流の生き方に切り替え始めている人なんです。今ここで、こうして笑い合っているわたしたちのように」

穏やかな沈黙が流れた。
午後の光が少し傾き、風の中で木の葉がかすかに鳴った。それは、ひとりひとりの胸の奥で、あたらしい時代が目を覚ます音だった。
皇の時代は、もう始まっている。

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